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研修活動

 メディカル・マネジメント・プランニング・グループ(MMPG)は1月24日、「2015年 日本の医療・福祉・介護界の方向性を探る」と題する定例研修会を都内で開催した。

 講師は、MMPG理事長の青木惠一氏のほか、厚生労働省で地域医療構想策定ガイドラインの検討などに関わっている佐々木昌弘氏(医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長)、政府の社会保障制度改革推進本部の専門調査会の会長代理などを務める松田晋哉氏(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)──の3人。医療・介護情報の活用などを通じた今後の医療提供体制の在り方を探った。

平成27年度税制改正大綱、「見える化」が大きなポイント~MMPG理事長の青木氏

 MMPG理事長の青木惠一氏は1月24日の定例研修会で、「社会保障・税一体改革の変遷と医療機関経営」と題して講演し、消費税10%への引き上げ延期について「医療機関の控除対象外消費税の問題に対応する時間を頂けた」との受け止めを示した。そのうえで青木氏は平成27年度税制改正大綱に触れ、「今回は『見える化』という言葉を入れたところが大きなポイント。はっきりと『見える化』して次の税制改正に備えようということになる」と指摘、控除対象外消費税問題の抜本解決に期待を込めた。

 医療機関の消費税負担について青木氏は、「消費税の税率が上がれば上がるほど控除対象外消費税問題が重くのしかかるのは皮肉。社会保障の財源を賄うための消費税率を上げれば医療機関の経営は苦しめられる。この問題をなんとかしなくてはいけない」と訴えた。

■ 過去の診療報酬対応、「根本解決になっていない」

 青木氏は、過去の消費税引き上げ時の対応について、「3回の引き上げ時はすべて診療報酬に上乗せされた。国民に見えないところで上乗せされた」と指摘。昨年4月の診療報酬改定後にMMPGが緊急調査した結果を示し、「初・再診料など診療報酬の上乗せによって6割はプラスだが、4割弱はマイナス。マクロ的には手当てされているが、マイナスになっている診療所もあるので、(上乗せ対応は)根本解決になっていない」と述べた。

■ 税制改正大綱の書きぶり、「大変な進歩だろう」

 青木氏は、過去2年と今回の税制改正大綱の比較を示し、「平成25年度、26年度は同じ文言だったが、今回は新しい文言になった」と指摘。「消費税等」「抜本的な解決」「見える化」などのキーワードに着目し、「消費税について『抜本的な解決』をしなければならない。『見える化』しなければいけない」と強調したうえで、「税制改正大綱の書きぶりとして大変な進歩だろう」と評価した。

NDBなどを活用した医療計画の策定について解説~MMPGの研修会で産業医大教授松田氏

 産業医科大学教授の松田晋哉氏は1月24日、MMPGが都内で開催した研修会で、「地域包括ケアシステムにおける医療介護連携の在り方~ナショナルデータベースを活用した医療計画の策定」と題して講演した。

 松田氏は冒頭、1年間に17~18億の電子レセプトが集まっていることを説明。「日本のレセプトはほぼ電子化が終わっている状況。NDBやDPCなどのデータを使って地域医療構想を策定する」と述べ、NDBなどを活用した医療計画の策定に期待を寄せた。

■ 前回の医療計画、「内閣府が怒った」

 前回の医療計画について松田氏は、「大きな問題があった。ナショナルデータベース(NDB)を使ったデータをすでに出していたのに、都道府県が策定した医療計画は従来と全く変わらなかった」との反省を語った。

 松田氏は、「NDBによる指標がほとんど使われずに従来通りの医療計画がつくられたので内閣府が怒った。医療計画によって、医療費の適正化やあるべき医療提供体制の確立が全くできていなかった」と振り返り、今後の医療計画策定に向けた全体像を解説。「NDBやDPCデータなどを用いて、各都道府県の『地域医療構想調整会議』で今後の医療提供体制について話し合う。医療機関の自主的な対応によって機能分化を促進していく。その具体的なプログラムに対して基金が付くという話になる」と説明し、調整会議の重要性を指摘した。

■ 病床機能報告、「医療機関の単なる思い」

 松田氏は、今後の医療提供体制をつくるうえで「調整会議が非常に重要となる」とし、同会議での議論の進め方を「STEP1~4」に分けて具体的に提示。福岡県・宗像医療圏のケースを用いて救急対応やがん医療などの「自己完結率」を分析し、各医療機関での医療行為が透明化されている現状を示した。

 一方、病床機能報告制度に基づく報告について「医療機関の単なる思いであり、NDBでは該当する医療行為を集めることができる」と指摘。各医療機関の「思い」と「データ」とを比較して病床配分の適正化を進めていく方向性を示した。

■ 今後の提供体制、「各地域での情報活用力が問われる」

 今後の医療提供体制に向け松田氏は「これから何をやらなければいけないか」と問題提起。「病床機能報告で自院のデータを出していただくが、私たちのほうでも病床の必要量を出すので、それらを比較していただき、調整会議で地域医療の現状について話し合ってほしい」とし、地域のニーズに応じた提供体制を確保していく必要性を訴えた。

 松田氏は「情報の標準化が進んでいる。これからは『競争』ではなく『協調』であり、WINーWINの関係をつくっていく。今後は各地域での情報活用力が問われる」と締めくくった。

改正医療法、「医療経営にとってツールが増えた」~MMPGの研修会で厚労省医政局佐々木 室

 厚生労働省医政局地域医療計画課の佐々木昌弘室長は1月24日、MMPGの研修会で講演し、今回の医療法改正について「医療機関経営にとってツールが増えた法改正である」と評価した。

 佐々木室長は、「個々の医療機関が自主的に判断できる。自主的な判断を医療機関同士で協議する」との方針を確認したうえで、今回の法改正について「行政権限の行使を最小限にとどめて、あくまでも医療機関の個々の判断と医療機関同士の協議によって進めていく」とした。そのうえで「MMPGの皆さんや医療機関の方々のお力添えがなければ、個々の医療機関が経営判断しなければ、この法改正は何の意味もない」と述べ、自主的判断を尊重した体制づくりを訴えた。

■ 医療介護の一括法、「内政・外交を解決するツール」

 佐々木室長は昨年6月に公布された「医療介護総合確保推進法」について、「19本の法律をいっぺんに一括法で改正したのは乱暴だという指摘もある。確かに法体系論から言えば、本当にここに入るのかなというものが入った」としながらも、「内政外交を解決するツール」との持論を展開。「個々の医療機関の経営に直接関わる『内政』の部分と、ほかの医療機関との相対的な判断で決まる『外交』の部分がある。一括法はいわば内政・外交から成る改正だった」との見方を示し、「内政・外交を解決するツールとして今回の法改正を入れたが、“内憂外患”にならないことを期待している」と付け加えた。

■ 勤務環境改善、「他医療機関との相対的な差が付く」

 佐々木室長は「今回の一括法によって医療現場が変わる。確実に経営に影響を与える」と強調し、医療経営に影響を与える「内政」に関わる制度として、「医療事故調査制度」「看護師の特定行為」「医療機関の勤務環境改善」「地域医療支援センター」などを挙げた。このうち勤務環境改善について佐々木室長は、「同じ地域で他の医療機関が勤務環境の改善を進めると、自院と他医療機関との相対的な差が付く」と指摘。離職防止や定着促進に向けた取り組みの重要性を示したうえで、「看護師は同じ地域で就職活動をすることが多いので、地域の中で看護師確保に差が付いてくるかもしれない」と述べた。

■ 医師確保の仕組み、「もう1つ制度のつくりこみが必要」

 「地域医療支援センター」については、新たな専門医制度などに触れながら「若い医師の初期臨床研修や働き方が影響を受ける」とし、医師確保の在り方が今後変わる可能性があることを示唆。「今回は都道府県ごとに位置づけたが、もう1つ、医師確保についての制度のつくりこみが必要」と述べた。医師確保の新たな仕組みづくりに向け、「私が(現職に)いる間は次の大きなテーマになる。担当を代わる場合には後任者に確実に引き継ぐ。医師確保はもう1つ仕組みがないと大変であると自覚している」と意欲を見せた。

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