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研修活動

2014年日本の医療・福祉・介護界に焦点を当て3氏が講演
~MMPGが「第133回定例研修会」

 「2014年日本の医療・福祉・介護界の方向性を探る」をメーンテーマに、MMPGは1月24日、都内で「第133回定例研修会」を開いた。MMPGの青木惠一理事長が「『社会保障・税一体改革』と医療機関経営のゆくえ」と題して講演した後、外部講師として招かれた日本病院団体協議会議長で日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏が「2014年度診療報酬改定で予想される医療への影響」をテーマに、また、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉氏が「プライマリ・ケアの強化~持続可能な国力の基盤として~」をテーマに講演した。

消費税率10%時、診療報酬は課税化されるかどうか──青木理事長

 青木理事長は2014年度診療報酬改定について、消費税補填分を除くとネットでは実質マイナス1.26%になったことを挙げ、「医療機関側からすると、非常に厳しい改定になった。今後の医療機関の経営というのは、なかなか厳しくなる部分があるのではないか」と指摘した。

 また、消費税率の引き上げに関し、医療機関の「控除対象外消費税」問題を取り上げた。特に来年10月に予定されている10%への引き上げについて、日本医師会など医療関係団体が軽減税率の導入を強く要望していることを示したうえで、「仮に10%になる時に、社会保険診療報酬は課税化されるのか、されないのか。これによって、医療機関の経営も職業会計事務の実務も全く風景が変わってくると思う」と説明。「仮に課税化された時、ゼロ税率なのか、3%なのか、5%なのか、8%なのか。その税率が何%なのかというところもポイントになる。仮に課税化された時、診療報酬の実質的な取り扱いがどうなるか、これから非常に攻防の激しいところになってくると思う」と指摘し、「4月の診療報酬改定がどうなるのか。それが医療機関経営にどういう影響を与えるのか。精査する必要があると思う」などと述べた。

 さらに、医療法人制度について、「地域医療を支えている社会的公器としての病院を経営する医療法人の形態が、持分あり社団医療法人という場合が非常に多い」と指摘。この持分ありの法人が全体の約85%を占める中、「相続税等の課税がされ、地域医療を守れなくなる可能性がある」との問題を説明した。

 これに関し、14年度税制改正で創設された「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度」を挙げ、持分ありからなしへの移行を前提に、「出資持分問題を未解決で相続を迎えたとしても、相続税の申告期限までに『認定医療法人』になれば、最長3年間、相続・事業承継の解決(準備)期間が与えられる」と新税制による効果を評価し、活用することを提案。新税制の問題点や課題も挙げたうえで、「3年間の時間的猶予があるなら、社会医療法人・特定医療法人への移行も一つの選択肢になってくる」と説明。「今回の医療法改正、税制改正を見極め、しっかり対応していきたい」との考えを示した。

「(仮称)亜急性期病棟に向かってベッドが動いている」──武久氏

 武久氏は今回の改定について、「29日の中医協で点数まで入ったものが出る」としたうえで、「とてつもない改革になりそうだと思っている」と指摘。高度急性期、急性期、回復期、慢性期など「すべてが同じ程度に影響を受ける」との認識を示した。

 厚労省が想定する医療提供体制に関し、急性期をめぐる同省の「見解」も示した後、日本では “多死時代”を迎え、慢性期医療の対象患者が急増する中、「今のままでの平均在院日数では、3分の2の患者さんが入院できないことになる。入院期間を3分の1にする、退院を促進することを厚労省は粛々と進めていると考えれば良い」と説明。そのキーワードとして「在宅復帰率」を挙げた。

 また、厚労省が打ち出している「在宅療養後方支援病院」について、「超慢性期も慢性期も含んだような地域での多機能な病院で、『(仮称)亜急性期病棟』に当たる。これに向かってベッドが動いている」と指摘。急性期病床が半減する一方、(仮称)亜急性期病棟が病床機能のメーンになると説明した。

 「第6次医療法改正案」で挙げられている「地域医療ビジョン策定」等も取り上げ、病床過剰地域の医療圏について知事が必要病床数を絞ってくるほか、国保の広域化に伴い、保険料抑制の視点からも病床数削減への流れが強まるとの見解も示し、病床をめぐる “壮絶なイス取りゲーム”となる可能性にも言及した。

 一方、療養病床でも多くの重症患者を診ている実態や在宅復帰にはリハビリテーションが必須であること、急増している認知症への対応の重要性等も挙げ、日本の医療にとって良質な慢性期医療が欠かせないとの認識も示した。

「総合診療専門医が日本の医療のキーパーソンに」──丸山氏

 丸山氏は、日本では超少子高齢化が進行し、他国と比較のしようがないくらいの人口構成の変化という大きな問題に直面していることを指摘。そうした中、医療現場では、高齢者特有の多疾病罹患や認知症に迫られ、臓器別の専門医療の偏重など従来の医療提供体制では対応が困難になっていることを説明した。

 こうしたことに関し、英国のGP(General Practitioner=家庭医)が果たしている役割や近年の医療改革の成果を紹介。ほとんどの先進国では、患者を全人的にとらえ総合的・継続的に診る総合診療専門医(プライマリ・ケア担当医)が1割の医療費で9割のコモンディジーズ(一般的な病気)に対応していることも挙げ、「その仕組みが日本にはない。総合診療専門医を養成できれば、(日本の医療システムも)効率よく機能する」とプライマリ・ケア強化の必要性を強調した。そのうえで、日本でも専門医制改革の一環で総合診療専門医の養成が決まったことを挙げ、「日本プライマリ・ケア連合学会でプログラムを作成しているが、その第1号が2020年に生まれる」と説明。今後、日本の医療がドラスティックに変化していくことも示し、「地域の開業医、内科や手術をしない外科など一般の患者さんを多く診ているところは、総合診療専門医を見通したうえでやっていく必要がある」などとアドバイス。「総合診療専門医がこれからの日本の医療のキーパーソンになることは間違いない」と強調した。

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